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ご挨拶



  本年より、電池技術委員会の委員長を拝命いたしました京都大学の安部でございます。歴代の委員長を務められた諸先輩方は、いずれも電池研究において卓越した業績を残され、学術界・産業界の発展に多大な貢献をされた方々ばかりであり、その伝統を受け継ぐことに対し、身の引き締まる思いを抱いております。
  電池技術委員会は、電気化学会に属する専門委員会の一つとして、産学官が一体となり、電池に関する科学と技術の向上を推進することを使命としております。昨今、カーボンニュートラルの実現が世界的課題として取り上げられる中、蓄電池の有効活用は極めて重要な鍵を握っております。蓄電池の普及には、その生産量を大幅に増加させることが不可欠であり、それに伴い、電池技術者の育成も喫緊の課題となっております。このような背景のもと、経済産業省主導による「関西蓄電育成プログラム」が発足し、私も委員の一人として参画させていただいております。人材育成は、電池技術委員会にとっても極めて重要な課題であり、今後の活動の中核に据えていくべきであると考えております。
  電池は、化学反応の酸化還元を利用する化学デバイスの一つであり、その構成要素は多岐にわたります。例えば、リチウムイオン電池においては、活物質が材料化学、バインダーが高分子化学、電解質溶液が有機化学、全固体電池に至っては固体化学が主要な役割を担います。一方で、電池の制御には電子工学、電池の健全性診断には情報工学、さらに電気自動車への応用となると機械工学の関与も不可欠となります。このように、電池技術は単一の学問分野にとどまることなく、多様な科学技術領域を横断する学際的分野として発展を遂げており、今後の電池技術委員会の活動においても、関連分野をさらに広げ、多様な人材を育成することが求められると考えております。
  現在、電池技術委員会の活動は原則としてクローズドな会議体で運営されておりますが、一方で、広く議論を展開する場として「電池討論会」や「電気化学会シンポジウム」、さらには「新電池構想部会」といったオープンな場も設けられております。本稿をお読みいただき、電池技術委員会の活動にご関心をお持ちいただけましたら、これらの公開討論会や委員会においてご発表いただく、あるいは聴講という形でご参加いただき、電池技術の発展に寄与していただければ幸甚に存じます。
  電池技術のさらなる飛躍に向け、皆様とともに歩んでいく所存です。今後とも何卒ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

2025年3月
電池技術委員会委員長 安部 武志